頭痛外来について | 久地さとう医院

頭痛外来について

頭痛はありふれた病気です。一体、世の中どのくらいの方が 頭痛を感じていると思いますか?

ある統計によりますと、日本では

片頭痛が6%
緊張型が16%

という数字があります。

人口1.3億人とすると 片頭痛は約800万人 緊張型は約2000万人少なく見積もっても、これだけの方がこの2つの頭痛を感じているということです。年代別では20-40歳代に集中しております。

では、そのうちで、どれくらいの方が医療機関を受診されいるかといえば1/3です。つまり、残りの2/3約7割の方は病院を受診したことがありません。その方々の大半は市販薬などで対処しているのが実情です。

では 頭痛の社会的な影響はどうでしょうか。

1/3の方は、なんとか生活を維持しているものの、
2/3の方は、普段の生活を維持できないと感じておられます。
また 会社や学校を休んだことは 1/3の方が経験していることです。

御自分に当てはめてみてください。今のプロジェクト、頭痛で休むことできるでしょうか。
かなり厳しい選択ですが、起きられないような頭痛ではやむを得ないことも想像できます。

頭痛の有無と診療経験

頭痛のある人

頭痛のある人

受診経験がない人

受診経験がない人

生活維持ができていない人

生活維持ができていない人

頭痛の分類

頭痛の分類は緊張型頭痛、片頭痛、慢性頭痛、群発頭痛、症候性頭痛。症候性頭痛は速病院へ!

緊張型頭痛

まさに緊張による頭痛です。 心の緊張ではなく 頸部(首の周り)の筋の緊張が原因になります。

図は後姿の絵です。
図のような筋が、長時間の同じ姿勢で緊張を強いられ、それに伴い血管が締め付けられ局所の循環が悪くなり起こる頭痛です。
何も特殊な姿勢ではなく、われわれの通常の姿勢でも起こります。
ですから、緊張の強まった筋肉を圧したり揉んだりすると、“痛気持ちいい”と感じるのは緊張部分が解放されるからです。

ほとんどの方は肩凝りを自覚されております。
ですから、俗に“肩こり頭痛”とも呼ばれます。

局所の解放は指圧などのマッサージ以外にも、入浴、湿布剤も有効です。筋肉の緊張ですから、朝からよりは午後、夕方以降あるいは週の始めよりも週末にかけて強まります。

痛みは“重ダルイ感じ”で締め付けられるような感じです。
原因はこのような筋の緊張が起こるような状況です。
筋緊張により痛み物質が放出されるために痛みを感じてしまう訳です。

長時間の仕事、パソコンや細かい作業、精神的ストレス、
ほかに特殊な例として背骨が立ちすぎの方などにこの種の頭痛がみられます。

対処法

・いわゆる消炎鎮痛剤で鎮痛をはかり、
 筋緊張を緩和する薬で筋をリラックスさせることで症状の軽減を図ります。
 ※ただし市販薬の常用は慢性頭痛につながる恐れがありますので、一度ご相談ください。

・それ以外に、患者さんそれぞれの状況に応じた生活工夫も大切な対処法です。
仕事中のストレッチ、枕の工夫、歯の治療、姿勢の矯正、そしてストレスの発散です。

片頭痛

これは緊張型と全くメカニズムが異なります。
イメージが湧きやすいように、片頭痛の平均像をお示しします。

  • 若年女性
  • 母親に頭痛歴がある
  • 早くは小学生から、多くは就職などの機会に増える
  • 毎月、とくに生理前後に集中
  • いわゆる頭痛薬はあまり効かない
  • 辛くて寝込むとすっきりする
  • ひどいと吐き気をもよおす
  • 頭痛前に何らかの前兆を感じる
  • 急になると言うが、朝寝起きから頭痛を感じている人が多い
  • 痛みはズキンズキンと脈打つ感じ
  • 緊張続きから解放される週末に多い

片頭痛の原因は残念ながらよくわかっていませんが、何らかの原因により脳の血管が拡張し、
神経刺激が伝わり、痛みとして発現していると考えられています。
この経路のどこかが原因であり、その伝達を遮断することが予防や治療につながります。

対処法

予防

片頭痛の予防はどのようなものがあるでしょうか。脳の血管を収縮・拡張させることが原因の一つです。実は血管が拡張する前には血管は収縮しています。その収縮が起きた反動で血管が拡張します。ですので、血管収縮を減らせば異常な血管の動きを抑えることができ片頭痛を減らすことができます。

この一連のメカニズムに関連している物質にセロトニンという物質があります。
セロトニンにつながるアミノ酸を多く含む物質を控えることがいいと言われています。
よく知られているものに、ナッツ類、乳製品があります。

他には誘発性のある食品にアルコール、チョコレート、赤ワインや柑橘類もよく知られています。
これらを好んで食したりする習慣を避けることが大切といえるでしょう。

ただし、上記に挙げた予防でも完全に防ぐことはできません。

しかし、ここにも罠が潜んでいます。
頭痛について、市販の頭痛薬を使っている方が沢山おられます。
その種の薬も少しは効きますし、効かなくても暫く我慢すると辛い片頭痛も去っていきます。
そのせいで、特効薬を使わずに何年も市販薬などを使っていると慢性頭痛の状態になってしまいます。
片頭痛と思ったら、病院で処方する片頭痛の特効薬を使ってください。

投薬

われわれが処方する片頭痛の薬は拡張した血管を収縮させたり、拡張を悪化させる作用を軽減し鎮痛を計るものです。また片頭痛の予防はこのメカニズムで、血管が収縮や拡張するような要因を減らすことです。

片頭痛の方は習慣的にある行動をとると悪くなることを知っています。
それらは、すべて、この血管に影響するような要因です。

しかし、予防だけでは解放されることは困難で
片頭痛の特効薬を上手に内服すれば、ずいぶんと生活は楽になります。

慢性頭痛

これは緊張型と片頭痛の混合(複合)型と考えてください。(いろいろな考え方があります)
非常に複雑になっている方が大半です。

私の経験からいえば片頭痛の対処を誤って毎日頭痛を感じている方が多いと思います。片頭痛は多くても週1回で済みます。ところが、この対処を誤ると片頭痛が2日続けて来ます。このような方に肩こり頭痛があると、週2日の片頭痛に週5日の肩こり頭痛が現れます。

どちらにも鎮痛剤や市販薬が使われます。すると、内服効果の少ない片頭痛の時にさらに服用が増え、
薬物過剰使用による頭痛が重なります。こうなりますと、今日の頭痛は?もともとは何の頭痛??
という具合になり、絡まった糸の状態です。

しかし、絡まった糸も端が分かれば、ゆっくり解くことができます。
慢性頭痛の方には、この経過をとっている方が少なくありません。
ゆっくりと糸を解いていく取り組みをしてみることです。

対処法

まずは、頭痛外来で慢性化している原因を突き止め、正しい薬の処方と、生活での注意点を知ることです。
一昔前は不眠で病院へ行く方はほとんどいませんでした。
今は、不眠外来があるように、眠れないことも病気として捉えられる時代です。頭痛も同様です。
”すぐ、治まるから…“としないで、一度、相談されることをお勧めします。

群発頭痛

片頭痛の親戚?に群発頭痛と呼ばれる頭痛があります。

一般には馴染みのない頭痛と思いますが、地上最強の頭痛とでもいいましょうか。

片頭痛が“拍動性の頭痛”と表現されるのに対し、群発頭痛は“目の奥がえぐられる様な、鋭い頭痛”と表現される頭痛です。

読んだだけでもなりたくないですよね。

この頭痛、片頭痛同様、原因がよく分かっていませんが、片頭痛同様、目の奥にある脳の血管の拡張が関係しているようです。
従いまして、片頭痛の特効薬の一部が群発頭痛には効きます。

群発頭痛の平均像をお示ししますと、多くは一側性で

  • 男性に多い
  • 中年に多い
  • ある一定期間、連日、短時間の頭痛が来る
  • 目の奥が、えぐられる様な、シャープな頭痛
  • 目の充血、鼻水を伴うことがある
  • 夜間や睡眠中など、決まった時間に起こりやすい
  • アルコールで発作を誘発する
  • 酸素吸入が有効

などが挙げられます。

対処法

治療は、緊張型に使う鎮痛剤は無効で片頭痛に使う内服薬がある程度は効きますが、保険適応がありません。一番有効とされるのは、片頭痛の時に使う注射剤で、これを自分で注射することが効果的です。

また、発作が決まった時期に集中しますので、
その時期を迎えそうになったら、予防薬を事前に内服開始することです。
(花粉症の治療と同じようにお考えください)

症候性頭痛

症状

突然の、急な激しい頭痛
クモ膜下出血
手足の麻痺などを伴う頭痛で、
高血圧の方
脳出血

この2つがその代表です。

脳梗塞には意外に頭痛は少ないものです。

他、連日熱があり、頭痛がする、髄膜炎という、昔でいう脳膜炎もあります。
他にもたくさんありますが、一般の方にも分かるようで、代表的なものを挙げてみました。
いずれも頭痛だけがサインではありませんね。
頭痛があり、かつ熱やマヒなどのサインがあります。そう理解してください。

このような場合は早めに病院へ行かれることをお勧めします。

専門は一般(総合)と 対比される言葉です。 肝臓の専門、心臓の専門、など 医学には様々な専門分野があります。しかし、専門だけでは病気で悩む患者さんを診ることはできません。

頭痛にしても、私は他の専門の方よりも知識は持ち合わせています。
しかし、頭痛に悩んで来られる方の背景には心臓病があり、
肝臓病があり、様々です。そうしたことを踏まえて、
頭痛を診るにはやはり、広く総合的な視野で、
患者さんを診ることが必要とされます。

そのためには、患者さんとの信頼関係が何よりも大切です。
専門を通じ、皆さんのホームドクターになれることが
私の一番の願いです。

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